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てなわけで
夏休みも終わりなのですけど
学校が始まって大丈夫か？
と思う今日この頃です。
「永遠の0」を読み、映画も観てみました。
上映当時は一大ブームで太平洋戦争をめぐって
色々な政治的な論争もあった様子です。
高橋源一郎さんが小川栄太郎の初期の本を読んで感動したと書いてました。
相手を批判するなら、まずは相手を知ることから始めなくてはなりません。
これはアンシュタインがボーアに言った台詞でもあるのですけど
全くだなあと思ったことがきっかけです。
それにブックオフで100円の上に20％オフでしたので（笑）
さて
正直言えばそれほど大袈裟に騒ぐほどの内容でもありません。
（失礼かもしれませんが）
この小説は文学ではありません。
ただのエンタメ小説と思えばそれはそれで
どう解釈してもいいのですけど
それなりに楽しめればいいんじゃない。
感動をして涙を流すことも別にいいんじゃない。
それを無理して否定する必要もないじゃないかと思ったのです。
勿論政治的な観点からこの小説を読むのも自由。
作者自身の考えも小説に反映されていることも事実でしょう。
私が感じたのは、第一に無能な人間が国を間違った方向に進めてしまうことへの怒り
そして、戦争賛美で発行部数を伸ばし、終戦後は180℃方向転換した某新聞社への怒り
ということでしょう。
それはそれで健全なことだから別にいいのではないかと思うのですが
気になったのは
有能な人間が指揮をとっていたらあの戦争は勝っていたかもしれない
と思わせる言動もたびたび回想として聞こえてくるということです。
冷静に考えれば
部分部分ではもしかしたら敗北をしないで済んだ決戦もあったでしょうが
結果は変わらないでしょう。
それが一般的な常識です。
麻雀の初心者が運が良くて勝ち続けても
一晩続けたらやはり確実に負けてしまうというあれです。
もう一つは国のために無駄死にすることを否定しているように見えて
最後は自分の命を犠牲にするというくだりですね。
ここがエンタメとして涙を誘うことなのですけど
どうも捻くれ者の僕にはリアルに感じられない。
その後、鴻上尚史さんが「不死身の特攻隊」という本を出し
これが漫画にもなっているのですけど
生き残った佐々木さんの心情は僕としては理解できるんですね。
尊敬する岩本さんの言葉は、本当に人間を愛しているからの言葉で
組織とか国とかそんなものとは関係なく自分の心からの言葉であり
その言葉の意味を何度も出撃しながら身を持って知ったからこそ
佐々木さんは無駄死にはしなかった。
家族のために生き残る
それもエンタメとしてはわかります。
それは最もわかりやすいからです。
家族のために嫌な仕事でも我慢してやり続ける。
家族のために自分は生き続けなくてはならない。
確かにそれは現代の人間のレベルで正しい選択であり
それをあの時代にやり抜いた人間ということで
ある意味強い意志を表現している。
けれどもそれはあまりにも分かり易すぎて
なんだか逆に腑に落ちない。
僕には佐々木さんの言っていることの方に
共感を持ってしまいます。
ただ生きたい。無駄死には嫌だ。
いずれにせよ、某新聞社を否定したい人間や
あの戦争は間違いではなく
無能な人間がトップでなかったら勝ったかもしれない
今有能なトップがもう一度あの時代と同じことをやり直せたら
今度こそ勝って
日本は日本を取り戻せる。
美しき国、日本を。
そんな風に思う人間に利用する価値はあるのではないか。
とまあ、こんなことを感じました。
でも作者は当初は決してそんな風に考えて書いたわけでもないでしょうし
自身の言っているように特攻隊賛美と受け取るのは明らかに読解力のなさです。
やがて作者は前政権寄りに傾いていく訳ですが
あの方は純粋な人間を利用するのが上手い事は事実でしょう。
良いお友達になって便宜を図ったり
名誉を作ってあげたりが得意ですから
純粋な人間こそ利用されるのかなと思います。
少なくとも作品からは作者の純粋さも感じられます。
正しいとか間違いとかではなく。
さて、この作者も
コロナ対策をめぐっては前政権の批判に転じます。
確かに無能な上層部が招いた
あの戦争の時代と同じものを見ているのでしょう。
